ネコの鳴き声と言えば・・・皆さま，どんな声を思い浮かべますか？
まあ，日本語なら無難なところで，「にゃあ」とか「にゃお」とか，春先の野良猫の
「うあ～お～」とか・・・．

さて，我が家です．

まず，風は「にゃあ」と鳴きます．それが単なる「にゃあ」ではなく，ありとあらゆる声音で
鳴きます．機嫌がいいのか悪いのか，甘えているのか不満なのか，怒っているのか
声を聞けば誰にでもわかります．
ここまで明快にお話をしてくれると，風が怒っているときでも「話せばわかってくれる」と思って
一生懸命言い訳をしてしまうわたしです．わかってもらえたことはありませんが・・・．

つぐみは，もともと滅多に鳴きませんが，たまに鳴く声は無声音です．
「ひゃっ」と言います．「ひゃっ」と書くと声が出ているように感じますが，実際には空気が
抜けるような無声の「ひゃっ」です．初めて聞いた人には「今の音，何？」と言われます．

海は鳴きません．どんなに驚こうが，何があろうが一切鳴きません．
ただ，毎日２回，朝と晩にご飯を待っているときだけ，子ネコのような声で
「にゃっ，にゃっ」と短く小さく鳴きます．
他には一度も声を出したことがないので，多分，海にとっては，ご飯が一番力の入る
人生（猫生）の最重要事項なのだと思います．

あかりはどんな鳴き声かなと思っていたのですが，どうやらこれが「ひゃっ」なんです．
手の届かないところにあるおもちゃを凝視して「ひゃっ！」，遊んで欲しいときに
じっとわたしの顔を見て，「ひゃっ！」．つぐみと同じ無声音です．

シャルトリューは鳥の声のように鳴くと言われますし，確かにそういう子に会ったことは
ありますが，基本は千差万別という感じです．
ネコらしく「にゃあ」と鳴く子もいるし，変わり種では「めえ～，めえ～」とビブラートをかけて
ヒツジのように鳴く子もいます．

前回，風と「バッハ・モーツァルト効果」のお話をしましたが，つぐみ，海，あかりは
もともとのんきなネコたちなので，「バッハ・モーツァルト効果」があるのかないのか
よくわかりません．

ただ，日頃の行動を見ていると音楽の好みはそれぞれ違うのがわかります．

海は前衛的な現代曲が嫌いです．
作曲家によるのではなく，金属的な感じの高音が嫌いなようで，そういった音の
入る曲を流していると，寝ていてもわざわざ起きて来て，眉間にしわを寄せて
スピーカーをにらみます．
わざわざ来るのだから，実は好きだったりして・・・と考えるには，あまりに難しい
表情なので，わたしは長年日曜夜の楽しみにしてきたＮＨＫ・ＦＭの「現代の音楽」を，
家で聴くのをやめました．
なるべくその時間帯に買い物に出て，車の中で聴いています．

これは，ネコと音楽の話というより，「けなげな管理人の物語」・・・かな．

　　　　　・・・と思っていたのですが，実は・・・？　（続きは第41話でどうぞ）

風は子ネコのころ車が嫌いで，鳴いて騒いで，助手席のケージから手をのばして
運転妨害までする始末．危ないし，うるさいし，風にもかわいそうだし困っていました．

何か心休まる音楽でもかけたらおとなしくならないかしらと，車に積んであった音楽を
手当たり次第にかけてみて，バッハの無伴奏チェロ・ソナタで落ち着くことに気づきました．
チェロの音が好きなのかしらと，ブラームスやベートーヴェンのチェロ・ソナタも試しましたが，
だめでした．バッハなら他の曲でもOKです．
先日も獣医さんに連れて行くのに騒ぐので，「はいはい，音楽ね」と，バッハの
ヴァイオリン協奏曲をかけたら，ぴたっと鳴きやみました．バッハ様々です．
モーツァルトも曲によっては「効き」ます．

知り合いのお宅では，強気のネコさんを獣医さんに連れて行くとき，興奮して大変なので
モーツァルトをかけて落ち着かせているとのこと．やはり，困り果てて音楽を流してみて
モーツァルトが「効く」ことを発見されたそうです．バッハも「効く」とのことでした．

ネコ好きで知られる作家の群ようこさんもモーツァルトでネコが落ち着くという意味のことを
書いていらっしゃいました．グレゴリオ聖歌もいいとか．

一押しがモーツァルトかバッハかは分かれるようですが，両者の音楽が強気のネコたちに
「効く」というのは，身辺の他のネコ好きたちにも共通した意見です．

わたしを含め，皆さん「うちのネコは」モーツァルトが好き，「うちのネコは」バッハが好きと
思っていらしたようですが，これだけ揃うと「ネコは」モーツァルトとバッハが好きと言っても
いいように思います．

でも，何がいいんでしょうね？
もちろん，バッハもモーツァルトもすばらしい音楽ですが，どうしてベートーヴェンや
ブラームスじゃダメなのか，何が違うのか・・・ナゾです．