さすがの風も吐いたのは初日だけでしたが，2匹の棲み分けは続きます．つぐみは喜々と
してリビングを駆け回り，風は遠巻きにそれを凝視．時々，近寄っては「シャーッ！」ポカッ！
でさっと逃げる繰り返し．
2日目からはつぐみも寝室で寝るようになりましたが，互いに姿が見えない場所で寝ていました．
（狭い寝室なんですよ．）
こんな状態の二人をおいて仕事に出かけるのは最初とても心配で，留守中につぐみが怪我でも
していないかとドキドキでした．ただ，わたしがつぐみにさわったり，つぐみがわたしにすり寄ったり
すると，風が駆け寄ってきてつぐみを殴るようなので，むしろわたしがいない方が慣れるのかなとは
思いました．
実際，仕事から帰宅すると，毎日，着実に２匹の距離が縮まっている気がするのです．つぐみは
平気で風に寄って行くし（風は，さも，いやそうに逃げます），1週間目には，つぐみが遊んでいる
1メートル足らずのところで，風がおなかを出してころがっている姿を目撃 （左の写真）．
だいぶ進展です．
ブリーダーさんに教えていただいたとおり，帰宅したとき声を掛けるのも，まず風に，ごはんの
お皿を置くのも風が先，何をするにも，風が一番というようにしました．つぐみの写真を撮っていると
つぐみをかまっていると思うらしく，風が怒るので，写真をとるのも控えました．
子ネコのときにカメラに慣れなかったせいか，つぐみはすっかり写真嫌いになってしまいました．
このことは，今になって後悔しているのですが，あのときは「何でもいい，慣れてくれ〜」という
気持ちでいっぱいした．
こんな調子で，できるだけの努力はしましたが，風は相変わらず「シャーッ！」ポカッ．
かれこれ1ヶ月はこんな調子でした．
わたしも，もう，そこそこあきらめ，仲がよくなくても，とりあえず一緒にいられるようになったから
いいやという気分でした．
つぐみが来て1ヶ月ほどたったある日，風が寝室の隅で苦しそうに息をしていると思ったら，2歳にして
生まれて初めて大きな長い毛玉を吐きました．初めてのことだったので，わたしも何だかわからずびっくり
して毛玉を検分．何か悪いものでもひっかかって・・・と見たら，その毛玉，真ん中できっぱりと色がわかれて
いて，半分は色がごちゃごちゃですが，残り半分は何と完全にグレーの単色でした．
大笑いです．人前では「こんな子いらない」とばかりに不機嫌にしていた風が，実はわたしの見て
いないところでは，つぐみを舐めて世話をしていたというわけです．つぐみが風に平気で寄っていくはず
です．
おかしいやら安心するやらで笑いこけるわたしを上目遣いで見上げながら，初めての毛玉がショック
だったのか，がっくり落ち込んでいる様子の風が，またおかしかったです．
でも，とにかく，これで一安心．以後，つぐみは適度に風に気を使いながら，わが家の末っ子の地位を
確立したのでした．
風には一人でお留守番をしてもらうことが多かったので，仲間がいた方がいいだろうと，2匹目の
ネコを飼うことにしました．
つぐみのページにも書きましたが，風は甘えっ子のおしゃべりで，派手な「てんてん三毛」．
風をないがしろにしないような穏和で，口数が少ない子，かつ，風と並んでも暑苦しくない無地で
短毛のネコが欲しいのだと，友人の I さん夫妻に好き勝手を言ったのが シャルトリューとの
出会いのきっかけでした．
つぐみがうちに来たのは風が2歳になってすぐの4月半ばでした．生後3ヶ月半のかわいい盛りです．
わくわくドキドキつぐみを連れて帰宅したのですが，「ほうら」とキャリーから出したとたんに，
風がすごい剣幕で威嚇．つぐみに襲いかかりました．びっくりしたつぐみはリビングに駆け込み
ましたが，単にびっくりしただけで，すぐにおもちゃを見つけて遊び始めます．遊び始めたら，
もう夢中です．
一方，大ショックの風は寝室に籠城．時々リビングに出てきて，後ろからそおっとつぐみに近寄り
「シャーッ！」 ポカッとなぐってUターン．寝室に走り戻って吐くのです．おお，これが「吐き気がする
ほど不愉快」というものかと思いました．感心しても仕方ないですが･･･．で，つぐみはと言えば
風のパンチにも 「今の，なあに？」 きょと〜ん．
この繰り返しには わたしも少々困ってしまって，お里のブリーダーさんに相談すると，子ネコが
平気で怪我もしていないなら大丈夫，必ず慣れるからとのこと．
ものの本を読んでも，相手が子ネコなら必ず慣れると書いてあります．でも，もし，うちだけが
例外だったらどうしよう・・・．
結局，その夜は2匹はリビングと寝室に分かれたまま一夜を過ごしました．
（両方が気になるわたしは，結局，眠れませんでした・・・とほほ．）
